2008年05月22日

『破軍の星』『武王の門』

『北方謙三の南北朝物』の続き。
http://cost-off.seesaa.net/article/93562082.html

 先月からずっと北方謙三の南北朝物を読んでいる。
『破軍の星』では、公家の北畠 顕家(きたばたけ あきいえ)が陸奥を治め、足利尊氏との戦いと陸奥独立の夢が描かれていて面白かった。
 特に陸奥=東北から関東・鎌倉の足利勢を突破し、京まで駆けに駆けての大遠征をし、新田義貞、楠木正成とともに足利尊氏を破り、京より追い出す戦の描写は圧巻だ。
 さらに翌1336年(建武3年)1月、再度の入京を目指す尊氏を摂津で破り、尊氏は身一つで九州へと落ち延びる。が、数ヶ月に尊氏は九州の兵をまとめ、再度京へ迫る。それに対して陸奥に戻った顕家に再度京へ遠征しろとの詔勅が来る。詔勅や公家としての立場と、共に戦ってくれた者達の陸奥独立への想いとで苦悩する顕家・・。うーん、良かった。

 『武王の門』では、九州が舞台。懐良親王(かねながしんのう/かねよししんのう、父は後醍醐天皇)が、南朝方の武士・菊池武光とともに九州を制圧する。九州制圧後は京へ向かわず、九州を一つの国として独立を目指す。
 朝鮮半島の高麗との交易や中国大陸の元との元寇後の関係も出てきて、実に世界観が広く、まだ下巻の半分までしか読んでないけど、傑作だと思う。
 九州好きな俺にはたまらない作品。地名や距離感がわかるから、長者原の戦での菊池武光の大返し作戦が距離的にいかにムチャかわかる。3000の兵のうち2500が脱落し、替え馬のあった500だけで駆けつけ敵を挟撃する。読んでて思わず「武光来たー!間に合った!」って言ってしまったほどw
 正直、読み終わるのがおしい。

 この二冊は、南北朝・室町初期の動乱が舞台で、ともに主人公が南朝方の皇族や公家。皇族や公家でも時代や環境で武将として育って、打倒足利の宿命を背負って地方で戦い、同じく地方独立国家の夢を描いている。
 同時に、室町幕府を開いた足利尊氏についても、意外にも連戦連勝や圧倒的な強さがあったわけでなく、予想以上に戦で負けてる。楠木正成には六カ国を与えるからこっちについて欲しいと言ったり、身一つで九州に落ちて再起を図ったり、さらに幕府成立後には兄弟争いが起こったりと、尊氏も武士の棟梁という宿命を背負って生きていてる。
 天下を取るって楽じゃない、尊氏も大変だなーって思わずにはいられないw

 登場人物が実に魅力的で、かなりオススメの二冊。

『道誉なり』北方謙三著に続く
http://cost-off.seesaa.net/article/102078524.html


posted by コスト at 19:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 本・映画・ドラマ等レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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