2010年10月10日

龍馬伝38,39,40回感想「霧島ハネムーン、小倉口の戦い、青木崇高の後藤象二郎」ver.2.2

龍馬伝34,35,36,37回感想「大泉長次郎退場、薩長同盟〜寺田屋騒動、妙ににやけた西郷」の続き。
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   龍馬伝38,39,40回感想「霧島ハネムーン、小倉口の戦い、青木崇高の後藤象二郎」

第38回 「霧島の誓い」(演出:渡辺一貴)
第39回 「馬関の奇跡」(演出:大友啓史)
第40回 「清風亭の対決」(演出:松園武大)
の感想。

 第38回 「霧島の誓い」は明らかにいまいちで△。
脚本家が薩摩を嫌いのせいか、せっかくの霧島へのハネムーンもただ龍馬が熱い男になって決意しただけで、鹿児島っぽさが全然なかった。長崎はあれだけ地元へサービスしてるのになあ。
 スケジュールがきつかったんだろうけど、天候が変わりやすい霧島山はともかく、桜島まで曇ってては本当に桜島なのかもわからないし、霧島の背景なんか霧ばっかだ。
 霧島登山の小ネタのカステラのお弁当も出ず、史実の龍馬の乙女姉やんへの手紙にある楽しさが全然なかった。
 ちなみに、霧島神宮には龍馬とお龍の新婚旅行の等身大パネルがある。旅行で夜中に霧島神宮へ到着して、
「誰かいる?」
と驚いたが、実はこのパネルだったw
kirisima-ryoma.jpg
霧島神宮にある龍馬とお龍のパネル
霧島は星がすごくきれいなところで、大学時代に行った時は5分間に二つも流れ星が見えた。

 第35回「薩長同盟ぜよ」も同じ演出家がやってるけど、この演出家の回は合わない。
唯一、後に海軍の軍人になる吉井幸蔵が子役で霧島への案内を務めたのは、史実かどうかは知らないけどよく引っ張ってきたなあと思った。
その幸蔵の子の歌人の吉井勇は、高知県香美市香北町に滞在したことがある。。
 あと、例によって意地悪な役回りの薩摩だけど、薩長同盟で兵を送らないってもめてたけど、すでに京都で大久保利通が長州征討の勅許が降りないように政治工作して時間稼ぎをしてたり、長州は大変だろうから武器売買仲介のお礼の米(五百俵)を受け取らないとか色々手は尽くしてくれてるんだけどなあ。一切触れてない。
 返された米は、長州も面子があるので受け取らないので、亀山社中がもらってそれで土佐藩に帰藩するまで食いつないだ。

 そもそも薩摩の「大義名分がないので出兵しない」ってだけで、他藩は出兵をしぶったり(佐賀藩はまともに兵を出さなかった)、出兵しても本気で戦闘に参加しなかったりと十分効果もあったんだけどなあ。
 ここでの大義名分は、長州は第一次長州征討では禁門の変で御所へ向かって砲撃したが、今回の長州に罪はないので、私闘であるため薩摩は出兵しないということを幕府に返答している。

 あと、この回で池 内蔵太(桐谷健太)が水難事故で退場。内蔵太の死とせっかく手に入れた船も失って亀山社中は苦しくなるんだけど、経済的な話はカットして内蔵太の死をお元が祈ってくれてすぐ長州征討へ。


 第39回「馬関の奇跡」
 バブルの時代に作られたドラマ『奇兵隊』と比べて予算が少ないが、まずまずの戦闘シーンができていた。
 馬関は下関の古い呼称。小倉口は長州に入る四つの口の一つで、第二次長州征討は長州側は四境戦争と呼ぶ。ほかの三つの口では、長州が幕府軍を追い返すか、膠着状態にまで持っていっているので、幕府艦隊がいる小倉口での戦いが決戦となった。高杉の奇兵隊が小倉城を落とすか、逆に幕府軍が下関に上陸するかで決着すると考えられた。

 オープニングは、四境の一つの大島口での高杉晋作による有名な軍艦による夜間奇襲戦法。幕府軍に奪われていた大島を奪還する。土佐脱藩の田中顕助は高杉とともに参戦している。
 小倉口の戦いでは、海戦は龍馬、上陸する奇兵隊の指揮は高杉で、伊勢谷の高杉は完全に座頭市ぽかったけど、カッコよかった。
 第二次長州征討の小倉口の戦いは、関門海峡の北九州側の門司港の上陸地点から小倉城までは10km以上ある。同じ北九州市だけど昔は別々の市だったぐらいので距離はそこそこある。
 かつ、奇兵隊は約1000人、当初小倉口の幕府側の戦力は約5万人なので、奇兵隊の上陸作戦は何回かに分けてヒット&ウェイを繰り返して陣地を抜いていった。『龍馬伝』のように高杉の一言で素通りできたわけではないw

 『龍馬伝』ではアホな役回りになっている肥後藩は、史実では小倉口の幕府側にあっては一番手ごわく、頑強な強さを示して赤坂・鳥越の戦いで奇兵隊の攻撃を何度か跳ね返している。なんでネジ曲げるかなあ。あれじゃ、水戸黄門だよw
 しかし、陣地構築用の木を調達のために木を切ったら、幕府の責任者が「他藩の木を切るな」とネタのような官僚的な抗議をしたため(司馬遼太郎の『竜馬がゆく』では「護林官のような」と表現している)、もともと外様の肥後藩はそれを機に持ち場を離れて熊本へ帰ってしまう。

 その後、幕府軍は軍艦数など圧倒的に海軍力では有利だったのに、戦闘で軍艦を失いたくなかったのか、当時日本では最強の軍艦・富士山丸(正式名称:富士山艦)を積極的に戦闘に使うことなく、大阪城で14代将軍徳川家茂が死去したのを機に、幕府軍の責任者の老中の小笠原長行はそれに乗って大阪に逃走。

 長州側の海軍力では、富士山丸の火力・防御力の前には敵ではなかったと言われるが、幕府軍総督の老中・小笠原長行(唐津藩主)は本質的に官僚的であり、戦闘指揮には向いてなかったため、海戦ではガチでのぶつかり合いにはならなかったのが幸いした。また、小笠原は戦闘指揮だけでなく、上記の熊本藩のいざこざなど諸藩の取りまとめにも失敗、熊本藩以外も撤退し始め、開戦当初5万の兵力だった小倉口の幕府軍も最後は小倉藩だけになる。
 小倉藩は譜代の大名で西国探題(九州の外様大名の監視)の役目を持っていた。石高は15万石。

 責任者の小笠原の逃走の後、小倉城は平野にある平城で守りにくいということで、小倉藩が自ら焼き払って(自焼)、香春(現・香春町)に撤退した。藩主は熊本城に退避。
 その後、小倉藩は香春撤退後も金辺峠に拠り高津尾を前線基地として、長州兵に遊撃戦を挑み一時は小倉城を奪還したが、その後は各地の戦闘で敗れ、高津尾の決戦で金辺峠へ敗走した後に停戦した。
keiheitai.jpg
長州の奇兵隊
参照:Wiki「長州征討」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E5%B7%9E%E5%BE%81%E8%A8%8E
参照:Wiki「小倉藩」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E5%80%89%E8%97%A9

 ちなみに、幕府軍の海軍の指揮官には勝海舟と榎本武揚がいるが、勝は徳川慶喜に嫌われて江戸で蟄居中。榎本はオランダ留学中。
 この二人のうちどちらかが、海軍の指揮をしていたら奇兵隊の九州上陸、小倉城攻略は簡単にはいかなかったと思うが、勝が再三愚痴ってるように幕府の官僚機構はガッチガッチで融通が利かないので(一言で言うと腐ってる、また基本老中は譜代の殿様がやる)、榎本クラスでは身分が低くて意見は取り上げられなかっただろう。
 勝はこの後呼び戻されて、長州との和平交渉で宮島へ単独で来ているが、龍馬伝ではスルー。下手したら殺されるかもしれない役回りなので、慶喜は殺されても惜しくない勝を派遣したと言われている。
 この和平交渉のシーンは欲しかった。神戸海軍塾の弟子の龍馬たち亀山社中が対幕府戦に助っ人として参戦して活躍したわけで、驀臣の勝として複雑だろうけど、ちゃんと自分の教えた弟子たちが活躍したわけだからその想いを入れて欲しかった。

関連記事:こっさんめーる7「コロンブス、榎本武揚」
http://cost-off.seesaa.net/article/137982441.html
こっさんめーる9「小倉城」
http://cost-off.seesaa.net/article/138308830.html


 第40回 「清風亭の対決」
 龍馬以外で、一部から4部まで通して出ている数少ない人物の後藤象二郎(青木崇高)は、出世に合わせてキャラも大きくしてきてるのと、青木のほうが土佐弁全然うまいなあってとこ。同じ方言でしゃべってるとは思えないw福山龍馬の土佐弁じゃ別の国だよwでも、頑張って話そうとしているのはわかる。

 同じ高知城下育ちの二人で、かたや脱藩浪士隊の隊長と、土佐藩重役で対決するんだけど、史実ではこの時が初対面だったと可能性が高く、すでに薩長の間では名士になっている龍馬が「後藤様」って言い方は嫌だなあ。「後藤さん」でいいじゃん。対等で土佐藩の外郭団体になるんだから。
 史実では、亀山社中が経済的に追い詰めてられていたという事情が大きく、土佐藩は政治的薩長とのつながりを持ちたい(勝ち組に乗りたい)、貿易で儲けたい、海軍力を強化したいという利害関係の一致で帰藩ということになるんだけど、もう残りの話数が少ないのでいきなり大政奉還の話を持ちかけてる。
 まだその話を出すには明らかに機が熟してないけど、もう尺がないのでいきなりその場で、大政奉還OK!、シェイクハンドで上士と下士が手を握るってひでえなw
大政奉還って高度な政治提案をそんなに簡単に理解できないと思うけどなあ。
gotou.gif
龍馬伝ではヒールの後藤象二郎
史実では大雑把で大風呂敷で、維新後は広げた大風呂敷(スケールがでかい話)をうまくたためない、と評された。
 ただ、龍馬伝ほど腹黒な人物でなく、江藤新平が佐賀の乱の後で逮捕された後、 副島種臣 、板垣退助ら下野した者達と共に、自己の功と引き換えに江藤の減刑を政府に訴え出た。(しかし、江藤は大久保利通によってまともな裁判もないまま斬首、さらし首(梟首)にされた。)
 また、後藤は日本人ではじめてルイ・ヴィトンの製品を愛用した事でも知られている。彼はパリの本店で鞄を購入した。

 亀山社中と手を握るとかはけっこう後藤の独断で事後承諾っぽいんだけど、そんなにいきなり仲良くなれるほど対立の根は浅くない。なにせ、江戸時代260年間の差別と恨みの歴史がある。
 最終的に土佐で上士と下士が融和していくのは、戊辰戦争で板垣が土佐軍を指揮するのだが、腰抜け上士は使えない(幕府の旗本と同じく使えない、ライフルなど近代兵器を足軽の武器といって覚えない)から、郷士主体で作った精鋭部隊・迅衝隊(じんしょうたい)が主力となって中山道、関東、東北と戦い抜いてからで、

迅衝隊・・・戊辰戦争の土佐軍の主力部隊。約600名、副官に片岡健吉、谷干城、小笠原唯八。甲府で甲陽鎮撫隊=新撰組を撃破(甲州勝沼の戦い)、二本松城などを攻略、会津戦争に参加。ちなみに上野戦争時には関東各地を転戦していて土佐軍は不参加。

 戊辰戦争後に板垣は、高知藩大参事に就任して藩政改革を断行し、戊辰戦争の経験から国力の強化は上下が一体となる事だと痛感し『四民平均の理』を説き、土佐で上士と下どころか四民平等宣言が中央に先駆けて宣誓されるという流れがあるのだが、
 『龍馬伝』ではいきなり「刀を納めや。土佐藩と(亀山社中が)対等でよろしければ」でシェイクハンドして、「よろしくお願いします」ってライバル企業の合併じゃねーんだからさw
でも、全体的にドラマとしては龍馬VS後藤の戦いはよかった。
 ついでに、長崎奉行所が目をつけて亀山社中を留守に家宅捜索で荒らしてるのはリアルだった。

龍馬伝41回感想「さらば伊勢谷晋作」につづく
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関連記事:まとめて読む→歴史&高知カテゴリー
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CMツッコミ、『龍馬伝』1,2話感想(画像追加)
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龍馬伝関連「中岡慎太郎(前編)、天誅組の変」
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【目次】歴史&高知カテゴリー【龍馬関連記事】
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まとめて読む→歴史&高知カテゴリー
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posted by コスト at 17:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史&高知(龍馬伝など) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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