2010年07月19日

龍馬伝28回感想「武市の夢・土佐勤皇党弾圧その二」

龍馬伝20-27回「土佐勤皇党弾圧その一」&年表1の続き。
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  龍馬伝28回感想「武市の夢・土佐勤皇党弾圧その二」

 2部(SEASON2)の最終回となる28回「武市の夢」は、いつもの説明不足の脚本を役者の力量と迫力で押し切った感じで、いつも史実と比べてあまりにも扱いのショボイ武市半平太(演:大森南朋)がこの回だけは迫力ある武市だった。特に史実通り三段に切腹するシーンは見事だった。

 土佐の中でのワープ(安芸にある弥太郎の家が40km以上離れた高知市内にあるような移動感覚)はスルーしてたけど、脱藩しておたずね者の龍馬が神戸から簡単に土佐の実家に帰ってるのは、どうやったのかひっかかった。船かよ?
 しかも、ここで家に帰ると暗殺前に五年ぶりに土佐に帰るシーンでの感動が薄れると思うのだが、『龍馬伝』ではわかりやすくするため(2部で武市関連を消化してから3部の長崎へ)史実通りではなく、時系列をいじってるのでこだわってないのだろう。

 歴史(史実)では、武市の切腹は神戸海軍塾が廃止され、龍馬たちが薩摩を経由して長崎で亀山社中を設立してる頃なので、龍馬は帰国どころか自分たちの身の置きどころも必死だった。
年表は→龍馬伝20-27回「土佐勤皇党弾圧その一」&年表1
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 とにかく『龍馬伝』での武市の扱いは本当にひどかった。
幕末の政治工作で暗殺(人斬り)などしたのは、土佐藩(土佐勤皇党)だけでなく、長州や薩摩も同じなのだが武市だけが岡田以蔵に人斬りさせたという扱いだったし、それでテロ行為の黒幕のブラック武市になっていたw

参照:『都びとを震撼させた三人の人斬り』
http://www.kyoto-station-building.co.jp/monthly/bakumatsu/06.html

 武市の土佐勤皇党は、土佐の郷士全員をたばねていたわけではないが(龍馬や吉村寅太郎ら脱藩組は武市とは別行動)、それでも郷士のカリスマで土佐勤皇党弾圧で投獄されてからは、土佐の各郡の郷士から武市らの解放の嘆願書が藩庁に出されている。
 土佐藩及び山内容堂はそれを無視したため、郷士の清岡道之助ら23人は、武市ら投獄されている土佐勤皇党員の釈放を求めて野根山に集結し、鎮圧に来た藩兵と抗戦。劣勢となり、阿波から長州へ脱藩を試みて失敗、処刑されている。(野根山二十三士殉節)。
関連記事:龍馬伝関連「中岡慎太郎(中編)、池田屋の変、野根山二十三士殉節」
http://costblog2.blog24.fc2.com/blog-entry-338.html

 武市は、すぐに攘夷(外国を追い払うこと)できるかという現実的な問題(実際は勝海舟や吉田東洋が言うように実力的に不可能)で、吉田東洋らと対立し暗殺したが、武市の夢であった「天皇の下に統一国家を作って、日本を外国からの侵略を守る」という方針は、結果的に明治維新という形で正しかったことが証明される。幕府は不平等条約を結び、貿易の幕府による独占など国家よりも幕府という自らの政治体制保持を優先させている。

 幕末の武市の土佐勤皇党主導の土佐藩と長州とが足並みをそろえた初期の攘夷活動は、明治維新で王政復古してからも「土佐は当初から尊王(勤皇)であった」ことが評価されている。

 一方、大政奉還後の小御所会議(徳川慶喜の官職辞職および徳川家領の処遇などを決めた会議)での前土佐藩主・山内容堂の徳川家養護と土佐藩の武力倒幕路線への参加の遅れで、維新後の土佐藩の評価は鳥羽伏見で裏切った彦根藩程度と同程度にまで下げられている。
 歴史をみれば容堂は、バカではないが方向を間違えたブレーキ野郎だったという感がいなめない。
 それでも龍馬や中岡慎太郎ら、弾圧した土佐勤皇党員の活躍で薩長土肥に名前が並んで、明治政府でもある程度の地位を獲得した。
それでも、容堂のブレーキで土佐は「勝ち組の中の負け組み」という微妙な勢力しか持てなかった。薩長の藩閥政治とは言われても、土佐は入っていない。

 ただ、容堂にすれば武市ら攘夷派を処断しなければ、フランスの援助で力を盛り返した幕府に長州の次に狙われるという政治的計算があり、他の諸藩でも土佐同様に攘夷派を処断している。
 長州だけが、高杉の藩内クーデター成功で完全倒幕の姿勢を表していた。
 しかし、武市を処刑したために龍馬と中岡が暗殺されてからは、倒幕路線を進む薩長との政治的連携を取る者、対抗できる人材がいなくなり、大政奉還の成功で政治的リードを取った土佐藩は再び薩長の武力倒幕路線の後追いし、多くの犠牲を払ったわりに新政府での力が小さくなった。
 それを徳富蘇峰は
「土佐は脱藩勤王によって多大の犠牲を払い、薩摩の芋畑と長州の蜜柑畑の肥やしになった」
と著「土佐の勤王」(民友社、昭和四年)に記している。
 その後、土佐は薩長藩閥政治に対して自由民権運動(立志社の設立)をもって対抗していくことになる。

 結論として28回「武市の夢」は良かったが、史実と比べて容堂がいいやつすぎる。山内家から金もらってんじゃねえの?と思ってしまったw
Yamanouti_Yōdō.jpg
山内容堂(豊信)
Wiki「山内容堂」の画像
 容堂は維新後、武市を殺してしまったことを何度も悔い、薩長に対抗できる人物を欠いて新政府の実権を奪われたことで鬱々と過ごし、病床にあった時か酔った時に「半平太ゆるせ、ゆるせ」とうわ言を言っていたと伝えられる。明治5年(1872年)、積年の飲酒が元で脳溢血に倒れ、46歳(数え年)の生涯を閉じた。
 容堂は、安政の大獄で隠居させられたとはいえ、40歳前後なので『龍馬伝』の総白髪はやりすぎだwだが、近藤正臣は迫力があって他の役者とは別次元だった。

 容堂は、自分の右腕の吉田東洋を暗殺され、江戸時代を通じての上士(山内侍)と下士(郷士、長宗我部侍)の対立で、武市らに感情を爆発させたと個人的に思っている。容堂は政治家としては所詮は殿様レベルで優秀であった。

 また、武市に尋問を行い、最終的には切腹を申し渡した責任者である後藤象二郎と、同じく尋問を行った板垣退助から武市の未亡人で富子に対し、明治維新後に「武市先生を殺したのは我々の誤りだった」と、後悔の言葉があったと伝えられる。

龍馬伝30,32,33回感想「主役を食う配役・伊勢谷の高杉晋作、泰造の近藤勇」につづく
http://cost-off.seesaa.net/article/159672183.html

参照:Wiki「武市瑞山」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A6%E5%B8%82%E7%91%9E%E5%B1%B1
Wiki 「山内容堂」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E5%86%85%E5%AE%B9%E5%A0%82
Wiki「小御所会議」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E5%BE%A1%E6%89%80%E4%BC%9A%E8%AD%B0

〜〜〜〜
関連記事:【2010年大河】龍馬伝キャスト発表【福山雅治】
http://cost-off.seesaa.net/article/123522208.html
まとめて読む→歴史&高知カテゴリー(コストブログ)
http://cost-off.seesaa.net/category/2869212-1.html
歴史&高知(龍馬伝など)カテゴリー(コストブログ2)
http://costblog2.blog24.fc2.com/blog-category-10.html

CMツッコミ、『龍馬伝』1,2話感想(画像追加)
http://cost-off.seesaa.net/article/138129397.html
『龍馬伝』6話感想「生瀬松陰」
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龍馬伝8話感想「香川弥太郎」&『猛き黄金の国』
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『龍馬伝9,10話感想&名前に動物の漢字』
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『龍馬伝』主要キャストの扱われ方
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龍馬伝21回の感想「泰造の近藤勇」
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龍馬伝23-24回の感想「泰造の近藤勇2&池田屋事件」
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『くどいほどに龍馬』
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【写真シリーズ】高知・桂浜
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歴史&高知カテゴリー
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【目次】歴史&高知カテゴリー【龍馬関連記事】
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