2010年03月23日

龍馬伝11,12話感想「東洋と武市、容堂」(ver.1.3)

『龍馬伝9,10話感想&名前に動物の漢字』の続き。
http://cost-off.seesaa.net/article/143092204.html

 『龍馬伝』の11,12話の感想。
 龍馬役を誰がどんなふうに演じても人それぞれの解釈した龍馬になるのでOKだと、龍馬役&『竜馬におまかせ!』(http://cost-off.seesaa.net/article/65577479.html)で書いたけど、11,12話は脚本の福田靖の解釈で、龍馬は土佐を脱藩する前からできる男だったという評判があったとされている。

 そのため、おそらく吉田東洋は龍馬なんて名前を知らないまま暗殺されたであろうけど、なぜか上士に取り立てるほど高く買っていたことになってるし、史実では武市半平太は「龍馬は鈍い」と同時に「土佐ではあだたぬ(収まりきらない)男」と言っていたのに、「土佐にあだたぬ」の台詞は東洋に取られてて、さらにかませ役に拍車がかかってしょぼくなっている。
大体、暗殺をあんなに大声でいうはずがないw
 あれだと、土佐勤皇党が失脚してから武市切腹まで取調べにも口を割らなかった史実と矛盾するが、『龍馬伝』での武市は残念な役回りなので仕方ない。
ただ、ブラック武市はなかなか新しい演出だw

 ちなみに、武市が東洋と土佐藩主山内豊信(容堂)を過信してたのは本当で(そこが武市の甘いところ)、容堂が幕府よりなのは、12話で東洋が「関ヶ原云々で山内家が土佐一国をもらった」というよりも、
容堂自身の家督相続の際に前代の14代藩主・山内豊惇が藩主在職僅か12日という短さでの急死でし、断絶になるところを老中首座の阿部正弘に働きかけ、豊惇は病気のため隠居したという形をとって容堂が藩主になれたという経緯があるためといわれる。

 そのため、龍馬の「船中八策」を後藤(後藤は自分の考えと説明)から聞き、大政奉還を土佐藩論として徳川慶喜に進言、大政奉還後の小御所会議での徳川家処分についても徳川家擁護の論陣を張る。
 さらに、鳥羽伏見の戦いに関しても土佐軍の出兵を禁じるなど、個人としては頑張ってた殿様だが、結果は土佐にとっては大いに迷惑な殿様だった。
しかしながら、もともと容堂は馬鹿ではなく、土佐藩の中にも
大政奉還を中心としたグループ(龍馬ー後藤ー容堂)と、
薩摩(の武力倒幕派)と長州と組んで完全に武力倒幕に進むグループ(中岡慎太郎ー板垣退助ー谷干城)
の二つの派閥があった。
 ただし、同じ大政奉還を目指したにせよ、龍馬は日本の平和革命のため、容堂は徳川家のために動いてたという思惑の違いがある。

 薩土盟約は大政奉還を中心とした盟約といわれるが、一方で裏で密約ともいえる軍事同盟(薩土密約)が武力倒幕派の板垣退助や谷干城と西郷隆盛の間で結ばれている。
(参考資料:「谷干城遺稿」谷干城著、「未完の明治維新」坂野 潤治著)
nakaoka.JPG
武力倒幕派の中岡慎太郎
高知市の帯屋町内の銀行にある土佐の偉人の墨絵より(再アップ)
中岡慎太郎の薩長同盟、薩土密約については翔天隊のページ↓に詳しいです。
参考:http://www.shotentai.com/nakaoka/nakaoka-5.html

 そして、大政奉還は成立するものの、武力倒幕派の政治工作が成功し、戊辰戦争が勃発する。
その際、薩土の武力同盟(薩土密約)に従い、容堂の出兵禁止を無視して板垣退助が土佐軍を率いて戊辰戦争に参戦する。
 ただ、容堂の出兵禁止命令によって土佐軍の本体は鳥羽伏見の戦には参加できず(本体は土佐にいて間に合わず)、在京(京は京都)にいる一部の戦力のみ途中から参戦した。

 つまり、武力倒幕の流れに容堂は自分の考えを持って抵抗した数少ない殿様といえる。
(親藩や譜代の殿様でもあれほど徳川家擁護した者はいない。それどころか鳥羽伏見では、津・淀・彦根などの藩はあっさりと薩長側に寝返ったw)
 容堂の行動は、明治後の土佐派の権力のなさを考えれば、よけいなことをしたでしゃばりの殿様であり、まだ馬鹿な殿様のほうがましだったと言い切れるw
 周りのバカ殿に比べればはるかに賢いが、それは比べる対象の問題だと思う。維新後は天皇中心の政体になり、攘夷実行はともかく武市や土佐勤皇党の方針通りになって結局、統幕一本で進めたほうがよかった。
 山内家は数年前にも相続税対策で家宝を県に買い取らせてるし、昔から土佐の疫病神だ。

 ちなみに容堂は山内家の分家の育ちで、江戸で育ってない上、母は側室で山内家に出入りしていた大工の娘と言われている。山内の殿様のわりに土佐人っぽい人物なのはそういう事情による。
で、龍馬伝ではなんで総白髪なの?w

参照:Wiki「山内容堂」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E5%86%85%E5%AE%B9%E5%A0%82

 話を『龍馬伝』に戻す。
 個人的には、龍馬は脱藩して勝海舟に会って弟子入りするまでは、歴史通りもうちょっと鈍くてもいいと思う。
『竜馬におまかせ!』(ダウンタウンの浜田雅功主演)の浜ちゃん竜馬だと、
「えっ?脱藩って罪なん?」
と言うすっとぼけた台詞があるw
 そこまで鈍くなくてもいいが、龍馬の知名度が上がるのは土佐勤皇党の壊滅や吉村寅太郎らが天誅組の乱で死んで、生き残ってる土佐の奴で神戸の海軍塾の塾頭をやってる変り者がいるとか、そのあたり以後に評判になってきたように思う。

 まったく関係ないが、『竜馬におまかせ!』は前半が面白く、浜ちゃん竜馬の関西弁について清河八郎役の西村雅彦が
「君は土佐の出と言ったな。なんで関西弁なんだ?」
とツッコむシーンがあり、浜ちゃん竜馬は
「言うてはならんことをー!」
とツッコミ返してたのは笑ったw
 ちなみに『竜馬におまかせ!』の視聴率はかなり悪かった。龍馬ファンから総スカンを食らってた。
 
 後藤象二郎にいたっては、龍馬が脱藩後に東洋暗殺の容疑が出て初めて存在を知った程度の認識じゃなかったんじゃなかろうかと思うが、
龍馬伝12話のタイトル「暗殺指令」が、なんで「東洋暗殺指令」じゃないのかと思ったら、後藤が龍馬を意識しまくって暗殺指令を出していたという二つの暗殺指令にかかっていたとは驚いた。
 11,12話の一番の感想はそこぐらい。他は龍馬を立派に描きすぎって感じだった。

関連記事→龍馬伝関連「中岡慎太郎」(前編)
http://costblog2.blog24.fc2.com/blog-entry-228.html

 あと、生瀬松陰の処刑シーンはなく、久坂に語らせるだけだったとは、もう一度生瀬松陰を見たかっただけに残念。
松陰の処刑で長州の若手に攘夷熱に火がつき、倒幕姿勢を露にしていくポイントだけど、これ『龍馬伝』なのよね。
ryouma-den2.jpg
JR東日本の龍馬伝のポスター(中心部はフラッシュの反射)
行き先は伊豆下田。踊り子号かよw
ペリー下田〜。

『龍馬伝』主要キャストの扱われ方」につづく。
http://cost-off.seesaa.net/article/146190664.html
龍馬伝16,17回感想「武田海舟、ジョン万のトータス松本」&土佐弁
http://cost-off.seesaa.net/article/148500534.html
龍馬伝20-27回「土佐勤皇党弾圧その一」&年表1
http://cost-off.seesaa.net/article/155404495.html
龍馬伝28回感想「武市の夢・土佐勤皇党弾圧その二」
http://cost-off.seesaa.net/article/156757432.html


※画像はクリックすると現在の大きさ(小)→最大→画面サイズ(中くらい)に変わります。

〜〜〜〜
関連記事:【2010年大河】龍馬伝キャスト発表【福山雅治】
http://cost-off.seesaa.net/article/123522208.html
まとめて読む→歴史&高知カテゴリー(コストブログ)
http://cost-off.seesaa.net/category/2869212-1.html
歴史&高知(龍馬伝など)カテゴリー(コストブログ2)
http://costblog2.blog24.fc2.com/blog-category-10.html

<同カテゴリー過去記事リンク>
CMツッコミ、『龍馬伝』1,2話感想(画像追加)
http://cost-off.seesaa.net/article/138129397.html
『龍馬伝』6話感想「生瀬松陰」
http://cost-off.seesaa.net/article/140677932.html
龍馬伝8話感想「香川弥太郎」&『猛き黄金の国』
http://cost-off.seesaa.net/article/142027136.html
『龍馬伝9,10話感想&名前に動物の漢字』
http://cost-off.seesaa.net/article/143092204.html

『龍馬伝』主要キャストの扱われ方
http://cost-off.seesaa.net/article/146190664.html
龍馬伝11,12話感想「東洋と武市、容堂」
http://cost-off.seesaa.net/article/144434284.html
龍馬伝16,17回感想「武田海舟、ジョン万のトータス松本」&土佐弁
http://cost-off.seesaa.net/article/148500534.html
『龍馬伝』視聴率(4/19-25)
http://cost-off.seesaa.net/article/150524787.html

龍馬伝21回の感想「泰造の近藤勇」
http://cost-off.seesaa.net/article/151701763.html
龍馬伝23-24回の感想「泰造の近藤勇2&池田屋事件」
http://cost-off.seesaa.net/article/153262420.html

龍馬伝20-27回「土佐勤皇党弾圧その一」&年表1
http://cost-off.seesaa.net/article/155404495.html
龍馬伝28回感想「武市の夢・土佐勤皇党弾圧その二」
http://cost-off.seesaa.net/article/156757432.html

龍馬伝30,32,33回感想「主役を食う配役・伊勢谷の高杉晋作、泰造の近藤勇3」
http://cost-off.seesaa.net/article/159672183.html
龍馬伝34,35,36,37回感想「大泉長次郎退場、薩長同盟〜寺田屋騒動、妙ににやけた西郷」
http://cost-off.seesaa.net/article/162404433.html
龍馬伝38,39,40回感想「霧島ハネムーン、小倉口の戦い、青木の後藤象二郎」
http://cost-off.seesaa.net/article/165264603.html
龍馬伝41回感想「さらば伊勢谷晋作」
http://cost-off.seesaa.net/article/165729086.html

龍馬伝関連「中岡慎太郎」(前編)
http://costblog2.blog24.fc2.com/blog-entry-228.html
龍馬伝関連「中岡慎太郎(中編)、池田屋の変、野根山二十三士殉節」
http://costblog2.blog24.fc2.com/blog-entry-338.html

『龍馬伝』主演は福山
http://cost-off.seesaa.net/article/109239321.html
龍馬役&『竜馬におまかせ!』
http://cost-off.seesaa.net/article/65577479.html
『大河ドラマの釣り&龍馬伝&お龍写真』
http://cost-off.seesaa.net/article/105831130.html
『江口龍馬(新撰組!より)』
http://cost-off.seesaa.net/article/24169325.html

『くどいほどに龍馬』
http://cost-off.seesaa.net/article/26810222.html
『ジョン万次郎』
http://cost-off.seesaa.net/article/120717341.html
『土佐弁「指詰めた」「ひやい」「ちゃがまる」』
http://cost-off.seesaa.net/article/105286845.html

『幕末の人間ドラマベスト5』
http://cost-off.seesaa.net/article/141454441.html
『印象に残った台詞・幕末編1』
http://cost-off.seesaa.net/article/108750408.html
『司馬遼太郎の高知関連作品一覧』
http://cost-off.seesaa.net/article/145028388.html

【写真シリーズ】高知・桂浜
http://cost-off.seesaa.net/article/111974030.html
『龍馬伝ジェット(とりさん画像追加)』
http://cost-off.seesaa.net/article/148500534.html


posted by コスト at 21:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史&高知(龍馬伝など) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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