2009年01月14日

キモト伝説8「子供の落書きだぁ」

    キモト伝説8「子供の落書きだぁ」

 キモトの京都旅行疑惑追求へ進む前に、「うるさい黙れ!」事件と「何がバッ!」事件の少し前に話を戻す。
 この頃のキモトは実験授業で追い詰められていた。追い詰めていた原因は、俺とS川ではなくキモトの能力のなさだった。
 そもそも、俺とS川がキモトに注目する原因に異常な行動ともう一つその能力のなさがあった。

 キモト伝説2「ドイツ語の単位」(http://cost-off.seesaa.net/article/106485722.html)でも書いたように、キモトはドイツ語の単位でS川の「優」に対して、キモトは「良」と負けていたが、他にも色んな授業で取れそうにないとなるとテストを受けず、履修記録なしという手段で逃げていたことがあった。

 前にも書いたように、日本の大学の単位ほど取った後は意味がないと俺は思っているし、実際優がいくつとかAが多いとか少ないはあまり重要だったことはなかった。(外国の大学は事情が異なる。)
 しかし、キモトはそこにプライドを、存在の全てをかけていた。
部活もサークル活動もせず、バイトもせず、彼女もいない学生生活で勉強だけしていた。
 いや、実際には図書館の地下に潜り、「自分は研究者だ!」という自己満足に浸っていただけかもしれない。それでも、他の事はせず勉強ばかりしていた。
 それで評価がいいというとそうでなく、しかもS川が自分よりも評価が高いと知った途端に
「えーーっ!?僕が良なのにぃ!!」
と、わめくに至り、その心理状態に興味を持った俺とS川をキモトウォッチャーへと駆り立てていった。

 そして、キモトの能力のなさは実験の授業でも現れていた。
 本来、実験の単位認定要素は出席してレポートを出すことであり、テストはあまりない。(数学科は例外)そのため、実験を一回でも休むと単位がもらえないので、必修の場合は絶対に出席することになる。
 内容もつまらないのに長時間に及んだり、実験器具が古くて実践的でない(実際の仕事では使わない)など問題があるが、少人数(1クラス30人)の学科なので仲良く楽しくやっていた。
 ただし、レポートやスケッチなどは個人の評価につながるので、みんな自分の部活やバイトの時間をみながらやっていた。

 スケッチは、それだけの実験ではないが、流れのなかで1コマだけあったりする。その目的は対象の状態をきっちり観察することと、写真とは別のとらえ方を学ぶということであった。あと実験の時間つぶし。
 絵の授業ではないので、美術的にそれほどうまくなくても、ある程度対象を実物通り書いてればそこそこ評価はしてもらえる。
 ただ、教授によってOKの出る基準が異なっていた。
ある教授は、見せても「この部分が実物と違う。筋がこういう交差はしない」となかなか厳しくて通らないが、夜になって教授が帰った後だと審査する人がいないので提出しておけばいいという場合があったり、別の教授が「この程度のスケッチは遅くても2時間だ。」と言って完全な時間制にする場合もあった。

 キモトを追い詰めたのは、この時間制のスケッチだった。それは必修科目の中での1コマだった。
 熊本市内にある江津湖で生物観察し、ついでに採集したザリガニをスケッチし、生物分類学で甲殻類の体の構造を説明するという内容だった。ちなみに江津湖の広さは約50ha、池のような湧水の湖。
 要するに初日は、2時間で取って来たザリガニをスケッチせよということで、教授は自分の研究があるので2時間後に来ると行って研究室に戻っていった。
 俺とS川は、
「時間制なら早く帰れるな。ザリガニなんて楽勝だし。」
「でもたい、毎年30匹もスケッチのためにザリガニ取ってたら江津湖のザリガニは絶滅するんじゃ?
 俺ら環境の学科で種の保存とか学んでおいて、ザリガニ絶滅させてたらおかしいねw」
と話しながらザリガニをスケッチしていた。

 この日、キモトは別のテーブルでスケッチしていた。
30分も経った頃、実験室内がちょっとざわめき出した。
妙にみんなうす笑いして話してるので、聞いてみるとキモトのスケッチが変らしい。どう変なんだ?と尋ねるとN岡は
「もうえらいことになっとうw」
と、笑いをこらえながら説明になって返事をして席に戻って行った。
 俺とS川も評判のキモトスケッチを見に行った。
そこにあったキモトのスケッチは、スケッチなのに数学のX軸、Y軸の直線が定規で引かれており、グラフような図面の上にコンピューターグラフィック(CG)のプロットのようなブロックが積み木のように描かれていた。
そこへキモトは、ザリガニのはさみの距離を図り、鍼を打つかのように慎重に点を打っていた。
(完全版にはここにキモトスケッチを再現した画像を挿入予定)

 一瞬で、俺はキモトの意図を読み取り、噴出しそうになって同じように笑いをこらえているS川と一緒に席に戻った。
「見たあれ?もう、あいつのやろうとしてるのわかったよw
 X軸Y軸の上にブロックで、CG作るようなこと描いてるけど、単にザリガニをうまく描けないのを、
 「僕は他の人は違う斬新な手法で描こうとして時間が足りませんでした。」
  って言い訳を描いてるだけばいw」
「絶対そうばい。ほんとは普通にも描けないのを、
 「実は色んなことをやっていましたが、時間が足らなかっただけです」
  って言い訳の作業ばいwあいつザリガニもかけんとや?」
「そこだよ。教授も白紙じゃないし、まさかザリガニ描けないとは思わないと思ってごかそうとしてるんだろうけど、あれは通じないだろう?M先生は厳しいからな。」
「提出の時が見ものばいw
 小学生みたいに「一生懸命頑張りました」で評価されると思ってるのかもしれんw」
「絶対、それだな。できなくても「頑張ってれば評価される」ってまだ思ってるんだよw。
 で、描けないのを煙に巻くためにXY軸、CGプロットってww
 紙の上でCGのプロットみたいなの描いてなんの意味があるんだよw
 俺らでも見破れるのにM先生には通じんやろう。」

 M教授は、S川にS川話「名を名乗れ!」(http://cost-off.seesaa.net/article/106050337.html)に出てきた関西系の教授と違って、北海道出身の真面目な教授である。

 2時間後、M教授が回収に来た。キモトを除く全員が提出、帰っていいことになった。
 そしてキモトのスケッチを見たM教授は、
「なんだぁこれはぁ!?子供の落書きだぁ!」
と第一声を上げた。
 帰ってよしと言われたのに、俺とS川、Y岡君、N尾君などの一連のグループは実験室の外で事のなりゆきを見守っていたが、教授の一言を聞いて大爆笑www
 真面目な教授にすらすっとんきょうな声をあげさせたキモトスケッチの威力。
 以後、この「子供の落書きだぁ!」も俺とS川のキモト話をする時には必ずやる物まねの一つとなる。
 
 結局、キモトは30分の延長をもらって書き直し。M教授は30分後にまた来ると行って出て行った。
 30分後の結末を知りたくて、一連のグループは居残って廊下から様子を見ることに。
「どうなるんかね?2時間かかって描けないものを30分では描けんやろう。」
「30分後にまだ描けてなかったら、M先生はどうするのか見たいね。
 また延長するのかな?」
「でもそれやったらさあ、他の2時間で仕上げた生徒に悪いんじゃない?同じ条件じゃなくなるしさ。」
てなことを話しながら待っていた。

 30分後、M教授が再度回収に来た。
キモトのスケッチを見ると、当然できてない様子。キモトはまだ小学生の「一生懸命やってます」の態度をアピールして「まだ描いてます」というようなことを言った。
 しかし、M教授は5分ほどその場でキモトを見ながら待ったが、その手元ののろさからこれ以上待っても無駄と判断し、キモトからスケッチの紙を取り上げた!
 その瞬間キモトは
「あっ・・・」
と、手を伸ばしてかぼそい声を発した。
M教授は颯爽を実験室を去って行った。

 実験の後、S川とジョイ(ファミレスのジョイフル)にてトーク。
「あれは面白かったねw「子供の落書きだぁ!」って取り上げられて、「あっ」とか声出してすがろうとしてんのw」
「ほんとばいw初めからごまかさずに、下手でも2時間でなんとか描けるとこまで描けばよかったたい。
 それをXY軸やCGの真似事して、
 「僕は描けないんじゃない!斬新な方法でやってるんだ!みんなとは違うんだ!」
 って、小手先で騙そうしたりするけんダメたい。」
「まだ自分が下手とか描けないとか認めたくないんだろうな。
 別にスケッチが下手でもどうってことないのに、
 「僕は優秀なんだ。こんなところで失態をさらすわけにはいかない。」
 って思ってんだよw」
「そんなん教授には関係ないけん。当然、結果だけ見て「なんだぁこれは!子供落書きだぁ!」やけんねww
 そらそうばい、2時間経って見たら、XY軸の上に積み木みたいなブロックがいくつかあるだけやけんねw
 ほかのみんなもキモトはちょっとおかしいってわかっとうけん、遠巻きに見るだけやったね。」

「そう、みんな見に行くけど放置してるんだよなwツッコまねーのw
 さもすごい事やってるかのように、XY軸引いて原点(中心)からはさみまでの距離とか定規で測ってるんだけど、格好だけでスケッチ自体は全然描けてないもんな。
 大体、何をもってザリガニの中心を決めてるんだよ。基準がわからないw
 キモトの計算では、
 「一生懸命やりました、その証拠にこんなに考えた跡があります」
 ってアピールして、教授から
 「おっ新しいな。スケッチは描けてないがアイデアは評価する」
 みたいになると思ったんだよw
 でも、よく考えたらザリガニをスケッチするだけで、難しいこと何もいってないのに、わけわからんXY軸の図面見せてもそりゃOK出ないだろうw」
「ほんとたい。いつまもで頑張った証拠見せれば評価されるとか、自分は他とか違うってことばっか考えとうね。
 これが必修じゃなかったら、また履修記録なしで逃げとうよ。」
「だからM先生に取り上げられてよかったと思うよ。
 下手に甘い顔したら、よそでも通じるとか思うからな。
 というか、受験とかやってたらわかりそうなもんだろう。1点でも足らなかったら即アウトだし、記述で質問に対してとんちんかんな答え書いたらいくら真理発見してても、質問に合ってなかったらダメだってわかるだろうに。」

「そうたい。M先生が一番いい先生たい。
 今までの教師がこいつは変なヤツやけん、適当にごまかしてはっきり言わんかったんじゃなか。
 唯一、高校の担任が点数足らんから志望校変えろって言ったら、無視して受験して、センターの5択でバカ当たり引いて入れたんだろうけど、「教師が妨害した」とか逆恨みするぐらいやけん。
 受かったのはいいけど、よけい勘違いひどくなっとうね。
 だから、M先生が子供落書きって取り上げたのが一番普通な対応よ。」
「だよなあ。あいつ部活もサークルもバイトもせんで勉強してドイツ語S川に負けて、スケッチでもダメでってどんだけ能力ないんだよ。
 ごまかすことばっか考えてるよな、認めてそこからスタートすればいいのにな。」
「でも、あいつが一番ごまかしとうのは自分たいww」
「あははwまったくだw」

   キモト伝説9「スケッチ話補足」につづく
http://cost-off.seesaa.net/article/112918319.html
 
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関連記事:キモト伝説6「うるさい黙れ!」
http://cost-off.seesaa.net/article/110149550.html
キモト伝説7「何がバッ!」
http://cost-off.seesaa.net/article/112124688.html
キモト伝説3-1「図書館の地下」
http://cost-off.seesaa.net/article/110234420.html
S川版キモト伝説「牡蠣」後編
http://cost-off.seesaa.net/article/111082639.html
キモト伝説まとめて読む→変人話(キモト伝説)カテゴリー
http://cost-off.seesaa.net/category/8817095-1.html

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関連記事リンク(ブログ内の記事へ飛びます)
キモト伝説「ノーベル賞2個取る!」
http://cost-off.seesaa.net/article/106256000.html
キモト伝説2「ドイツ語の単位」
http://cost-off.seesaa.net/article/106485722.html
キモト伝説3「彼は使えるよぉ」
http://cost-off.seesaa.net/article/106746075.html
キモト伝説3-1「図書館の地下」
http://cost-off.seesaa.net/article/110234420.html
キモト伝説4「うぃんうぃ〜ん」
http://cost-off.seesaa.net/article/109764817.html
キモト伝説5「キモトのオシャレと最後の砦」
http://cost-off.seesaa.net/article/110184238.html

キモト伝説6「うるさい黙れ!」
http://cost-off.seesaa.net/article/110149550.html
キモト伝説7「何がバッ!」
http://cost-off.seesaa.net/article/112124688.html
キモト伝説8「子供の落書きだぁ」
http://cost-off.seesaa.net/article/112615876.html
キモト伝説9「スケッチ話補足」「スナメリのスケッチ」
http://cost-off.seesaa.net/article/112918319.html
キモト伝説10「京都旅行疑惑」
http://cost-off.seesaa.net/article/114596036.html

キモト伝説11「住吉自然公園」
http://cost-off.seesaa.net/article/114631847.html
キモト伝説12「にしむーVSキモト」
http://cost-off.seesaa.net/article/116965718.html
キモト伝説13「くすの木会館事件」
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キモト伝説14「生態系が把握できない」
http://cost-off.seesaa.net/article/118299365.html
キモト伝説15「木葉、強襲!」
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キモト伝説16「キモト忍法炸裂」
http://cost-off.seesaa.net/article/121631544.html
キモト伝説17「火に油」
http://cost-off.seesaa.net/article/122018689.html
キモト伝説18「第二次キモト宅捜索」
http://cost-off.seesaa.net/article/122429605.html
キモト伝説19「闇に浮かぶキモト城」
http://cost-off.seesaa.net/article/142021209.html

キモト伝説「怒られるよぉ」
http://cost-off.seesaa.net/article/111610463.html
キモト伝説「キモトと麻雀」
http://cost-off.seesaa.net/article/115286827.html
キモト伝説番外編1(ver.2)
http://cost-off.seesaa.net/article/112198342.html
キモト伝説番外編2「キモトとキモト型人間」
http://cost-off.seesaa.net/article/118355154.html

S川版キモト伝説「牡蠣」前編
http://cost-off.seesaa.net/article/111079015.html
S川版キモト伝説「牡蠣」後編
http://cost-off.seesaa.net/article/111082639.html
S川話「キモトの試験逃亡事件」
http://cost-off.seesaa.net/article/161849385.html

『Ouch !、R2、S川版キモト伝説非公開ver.1.2』
http://cost-off.seesaa.net/article/106177456.html
『更新と交信(ver.2)&キモト伝説予告』
http://cost-off.seesaa.net/article/119924581.html

【目次】コラム人物編目次part1
http://cost-off.seesaa.net/article/107966008.html
キモト伝説まとめて読む→変人話(キモト伝説)カテゴリー
http://cost-off.seesaa.net/category/8817095-1.html


posted by コスト at 23:33| Comment(2) | TrackBack(0) | 変人話(キモト伝説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
な、なかなか個性的ですね^^;
再現図が見たいです。
Posted by とり at 2009年01月17日 15:21
とりさん、コメントありがとうございます。
キモトのスケッチは、どうみても数学の図面に上に
積み木のようなブロックでしたから、誰でも再現できるレベルですw
こ話の前後にあったスケッチの話もあるので、次回はその辺を書いていきます。
つまらない実験でもキモトが一人ムーブメントを起こしていたので、
まったく飽きなかったです^^
俺とS川が夢中になるわけですw
Posted by コスト at 2009年01月17日 16:27
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